悪性脳腫瘍対象分子標的薬、P1開始
国立がん研究センターと第一三共は1日、共同研究で創製した抗がん剤候補「DS−1001」の
第1相臨床試験(P1)を開始したと発表した。悪性脳腫瘍(神経膠腫/グリオーマ)などにある遺
伝子変異をターゲットにした分子標的治療薬。初めてヒトへ投与するファースト・イン・ヒューマン
試験(FIH試験)を始めた。まずは悪性脳腫瘍の治療薬として開発を進める予定。
悪性脳腫瘍や急性骨髄性白血病(AML)、胆管がんなどでは多くの場合「IDH1/2遺伝子」
が変異している。国がんと第一三共の研究チームは、変異型IDH1を選択的に阻害する分子標的治
療薬としてDS−1001を創製した。IDH1変異がある悪性脳腫瘍、AML、軟骨肉腫の細胞増
殖を抑制できる可能性を非臨床試験で確認し、このほどFIH試験を開始した。同変異があり、標準
的治療法がなく再発した神経膠腫(グリオーマ)を対象にしたP1で、国立がん研究センター中央病
院などで実施する。試験期間は約3年を予定。
IDH1やIDH2に対する分子標的薬は米アジオス・ファーマなども臨床試験を始めている。
(化学工業日報 2017年3月3日)