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 国立がん研究センターと九州大は24日、大腸がんで手術した患者の血液から患者特有の遺伝子の有無を調べ、再発リスクを判別することができたとする臨床試験(治験)の途中結果を発表した。手術後に抗がん剤治療を受けるかどうかの判断材料になるという。

 抗がん剤は治療効果に個人差がある上、副作用が大きく体に負担がかかる。オンラインで記者会見した九州大の沖英次准教授は「本当に必要な人だけに積極的な治療をすることができ、治療体系が根底から変わる」と話した。検査機器を年内にも国に承認申請する予定という。

 手術でがんを切除したステージ2~4の患者1039人が対象。患者ごとにがん組織を解析し、がんの原因とみられる16種類の遺伝子を選び検査機器を個別に設定。定期的に血中のがん遺伝子の有無を調べた。

 手術後4週間の時点で陰性患者の91%が1年半後に再発しなかったと推計されたのに対し、陽性の患者で再発しなかったのは38%と低く、陽性患者の再発リスクが高い結果となった。画像検査などでは見つからない段階で血中に潜むがんを見つけているとみられる。

 抗がん剤治療の対象となるステージ2と3の患者に限定し分析。陽性患者で抗がん剤治療を受けた人は62%が再発しなかったのに対し、受けなかった患者で再発しなかった人は22%にとどまった。一方、陰性患者では抗がん剤の有無で再発リスクの差は確認できなかった。

(共同通信社 2023年1月25日)

 

 

 

胃、食道、胆道がんも関与 乳がんリスクの遺伝子変異

 乳がんの発症に関わることで知られる「BRCA」という遺伝子の変異が、胃や食道、胆道のがんの

発症リスクも上昇させることが分かったとする研究結果を、理化学研究所や国立がん研究センターな

どのチームが14日付米医学誌JAMAオンコロジー電子版に発表した。日本人約10万人分の遺伝子を

解析した。

 

 チームは「BRCA遺伝子に変異がある人のがん予防につなげたい」としている。この変異があるが

ん患者に合わせた治療薬は既に実用化しており、使用すれば効果が期待できるという。

 

 BRCA遺伝子には「1」と「2」の2種類あり、DNA の傷を修復して細胞のがん化を抑える働きが

ある。これらの遺伝子に生まれつき変異があると、乳房、卵巣、前立腺、膵臓でがんの発症リスクが

高まることがこれまでに分かっていた。

 

 がん患者を含む約10万人の遺伝子の情報を調べてところ、BRCA2に変異があると胃がんで5.2

倍、胆道がんで17.4倍、発症リスクが上がった。BRCA2に変異がある場合は胃がんで4.7倍、食道

がんで5.6倍と分析された。

 

 胃、食道、胆道のがん患者のうち、これらの遺伝子変異がある割合は1~2%だった。

 

(共同通信社 2022年4月15日)

がん細胞のオートファジー阻害剤開発 抗がん剤の効果高める、岐阜薬科大など共同研究

 岐阜薬科大学(岐阜市)の遠藤智史准教授らの研究グループが、がんの生存や抗がん剤耐性化を助

長する「オートファジー(自食作用)」に特化した阻害剤を開発した、と発表した。阻害剤が、抗が

ん剤によるがん細胞のオートファジーを抑制し、治療薬の効果を高めることを初めて解明。遠藤准教

授は「新たな抗がん剤併用薬の開発につながる研究成果」と話している。

 

 グループは、オートファジーでタンパク質を包み込む膜「オートファゴソーム」を形成する際に必

須のタンパク質分解酵素のうち、「Atg4B」が最も重要な働きをすることに着目。Atg4Bの発生を抑

えることで、膜の形成が不完全になることから、Atg4B阻害剤の開発に着手した。

 

 スーパーコンピューターを用い、化合物21万種から有効な種類を見つけ、結合のシミュレーショ

ンを経て新たな有機化合物「21f」を作った。21fは栄養不足の培地で処理した前立腺がん細胞と一

緒に入れると、オートファジーを抑制し、がん治療薬による細胞の自然死(アポトーシス)を促すこ

とが分かった。

 

 今までオートファジー阻害剤は他の機能に影響することもあり、副作用が大きく、実用化できてい

なかった。今回の研究では、膜の形成を阻害することに特化しているため、副作用が小さいと考えら

れており「より安全で、実用化に向けた足掛かりになることが期待できる」(遠藤准教授)という。

グループは今後、臨床試験などを行い、最終的には新たな抗がん剤併用薬の開発を進める。遠藤准教

授は「岐阜から世界に羽ばたく創薬を目指していきたい」と話した。

 

 グループは同大の遠藤准教授、松永俊之教授、五十嵐彰教授が中心となり、岐阜大学や富山大学、

産業医科大学など6大学で共同研究を行った。研究成果は米国化学会誌「ジャーナル・オブ・メディ

シナル・ケミストリー」に掲載された。

 

(岐阜新聞 2022年3月31日)

マラウイでポリオ発生 3歳女児が感染

 世界保健機関(WHO)は18日までに、マラウイの首都リロングウェで3歳の女児がポリオ(小児ま

ひ)に感染したことを明らかにした。女児は昨年11月に麻痺を発症したという。アフリカで野生株の

ポリオウイルスが確認されたのは5年ぶり。

 

(共同通信社 2022年2月21日)

がん抑制タンパク質を発見、脳腫瘍で効果確認 世界初メカニズム解明

がん細胞を生み出す能力を持つ「がん幹細胞」に発現するタンパク質「SMURF2」が、がん幹細胞

の機能を調節していることを発見したと、岐阜薬科大の檜井栄一教授らの研究グループが11日発表

した。SMURF2のリン酸化によって、がん幹細胞が原因で発現する治療困難な脳腫瘍「グリオブラ

トーマ」の進行を抑制できることを世界で初めて解明。がんの根治に向け、がん幹細胞のメカニズ

の一端が明らかになった。

 

 グループは、患者由来のグリオーマ幹細胞から、SMURF2の働きを抑えた「SMURF2抑制細胞」

を作製し、がん幹細胞の機能が増強したことを確認した。SMURF2抑制細胞をマウスに移植したと

ろ、生存期間が大幅に短縮し、腫瘍サイズも増大した。

 

 グリオブラストーマを含む悪性度の高い腫瘍組織を調べると、SMURF2を構成するアミノ酸

「Thr249」のリン酸化が抑制されており、SMURF2の活性化が抑えられていた。SMURF2が発現し

た細胞と、SMURF2の働きが弱い細胞をマウスに移植したところ、発現細胞を入れたマウスは生存

間の延長と腫瘍サイズの減少、働きが弱い細胞を入れたマウスは生存期間の短縮と腫瘍サイズの増

が見られた。

 

 SMURF2のリン酸化によって、がん細胞の機能を調節するタンパク質の結合体の分解を促進させ

いることが分かった。檜井教授は「SMURF2のリン酸化のスイッチをオン、オフする仕組みが分

かったことで、がん根治のための新しい治療戦略ができる」と話した。

 

 グループは現在、SMURF2のリン酸化を調節する創薬に取り組んでいる。他のがんにも当てはま

可能性があり、有効な治療法が確立されていない疾患の解決が期待されている。

 

 檜井教授らのグループは岐阜大、金沢大、東京大と共同研究し、研究成果は英国学術雑誌「コミュ

ニケーションズ・バイオロジー」に掲載された。

 

(岐阜新聞 2022年1月12日)

線虫で膵臓がん調査 ベンチャー企業、来年から

 がんのにおいに反応する線虫を利用して、膵臓がんの疑いがあるかどうかを調べる手法を開発し、

来年から有料でサービスを始めると東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」(広津崇

亮社長)が16日、発表した。遺伝子組み換え技術を応用して、発見が難しい早期膵臓がんも検出可

能としている。

 

 広津社長によると、膵臓がんは画像診断など、従来の手法では早期発見が難しいが、尿を調べるこ

とで早期発見につながるとしている。

 

 線虫はにおいに敏感で、健康な人の尿には近づかず離れるが、がん患者の尿には近づく特性が知ら

れている。(1)普通の線虫で「がんの疑い」を調べる(2)遺伝子組み換えで膵臓がん特有のにお

いを識別できなくした線虫で、再び調べるーという仕組み。

 

 同社の実験では、膵臓がん患者22人の尿は全て正しく判定。その他のがん患者46人で調べると、

約9割の精度で「他のがん」と判定した。早期膵臓がんの患者の尿も識別できたという。

 

(共同通信社 2021年11月17日)

大腸がん患者に多い口内細菌発見 鹿児島大など研究チーム 唾液使った検査実用化目指す

 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の杉浦剛教授(顎顔面疾患制御学)らの研究チームは、大腸が

ん患者の口内にある常在菌4種類が、健康な人より多くなっていることを発見したと発表した。口内

の細菌が大腸がん発生に関与している可能性が示唆された形。唾液を使った大腸がん検査の実用化を

目指している。

 

 チームは、鹿大病院消化器外科、大阪大学微生物病研究所と共同研究した。健康な人51人と大腸

がん患者52人の唾液、便に含まれる菌を2018年から調査。論文は、7月2日付の国際学術誌

「Cancers」に掲載された。

 

 口内には約700種類の細菌が常在するとされる。チームはそのうち4種類の細菌が大腸がん患者の

口内と腸内で多く、健康な状態と異なる菌構成であることを明らかにした。

 杉浦教授は「腸内の細菌は口から運ばれたもの。直接か間接かは不明だが、口内の特定の細菌が大

腸がんの原因になっているのではないか」としている。

 

 チームは、唾液に含まれる菌の検査で大腸がんの発生やリスクが分かる方法を研究中。杉浦教授は

「1,2年内の実用化を目標に、高精度で検知できるようにしたい」と語った。

 

(南日本新聞 2021年9月22日)

がん免疫治療の効果増大 ミトコンドリア活性化で

 がん免疫治療薬「オプジーボ」をはじめとする「免疫チェックポイント阻害剤」について、免疫細

胞内にあり、細胞のエネルギー生産工場とも呼ばれるミトコンドリアを活性化させると薬の有効性が

高まると、京都大の杉山弘教授(ケミカルバイオロジー)らのチームが14日付の国際科学誌電子版

に発表した。

 

 免疫細胞にはがん細胞を攻撃する役割があるが、その表面にあるタンパク質にがん細胞が結び付く

と免疫細胞の働きが阻害される。オプジーボはこのタンパク質をがん細胞から守り、免疫細胞が機能

するのを助ける働きがある。オプジーボは、2018年にノーベル賞を受賞した本庶佑京大特別教授の

発見を基に開発されたが、半数以上の患者には効果がないとされている。

 

 チームは免疫細胞内のミトコンドリアに着目。ミトコンドリアの合成に不可欠な遺伝子の働きを強

める化合物を作製し、オプジーボと同様の仕組みで働く薬とともにがんを発症したマウスに投与する

と、ミトコンドリアの機能が高まったり免疫細胞の数が増えたりし、薬のみで治療した場合と比べて

約10日後にはがんの体積が5分の1程度になった。

 

 チームは今後、がん患者への有効性を確かめたいとしている。杉山教授は「オプジーボが効かない

患者の半分くらいに効果が出るかもしれない」としている。

 

(共同通信社 2021年9月14日)

抗がん作用の物質抽出 ミャンマーの植物から 名市大グループ

 名古屋市立大の研究グループは、高知県立牧野植物園と協力し、ミャンマーのキョウチクトウ科植

物から抗がん作用のある化合物を抽出したと発表した。同国では軍のクーデターで政情不安が続く。

同大薬学研究科の林秀敏教授(生化学)は「今は研究どころではないだろう。将来的にミャンマー政

府と協力し、現地の産業育成にもつながれば」と話している。

 

 同国は多様な植物の宝庫だが研究が進んでおらず、「植物資源」として期待されている。同植物園

は2000年、同国と協定を結んで研究を進めており、名市大は同植物園の「ミャンマー産植物抽出エ

キスライブラリー」(全700種)を活用した。

 

 林教授らは、ヒトの細胞内の小器官「小胞体」で、異常たんぱく質を取り除くストレス反応

(UPR)を抑制する働きのある植物を探した。UPRは慢性的に活性化するとがんなどを引き起こすこ

とが知られる。その結果、キョウチクトウ科の一種に注目し、成分を精製して化合物「ペリプロシ

ン」を取り出した。この化合物を試験管内で血液のがん細胞に作用させると、UPRを抑制し、がん細

胞が大きく減ったという。

 

 林教授は「UPRはがんだけでなく、さまざまな病気に関与しているとされ、アルツハイマーなど神

経変性疾患や糖尿病への効果も期待される。今後実験を重ねて安全性を調べ、創薬につなげたい」と

意気込む。同植物園は「社会情勢や新型コロナウイルス感染が落ち着き次第、ミャンマー森林研究所

と共同で調査したい。資源探索は人類の未来の基礎。研究を続けることは指名だ」としている。成果

は5月、英科学誌サイエンティフィック・リポーツ(電子版)に掲載された。

 

(毎日新聞社 2021年8月13日)

がん免疫療法、敵は老化か 京大、細胞刺激で薬効回復

 異物を排除する免疫細胞にがんへの攻撃を促す「免疫チェックポイント阻害剤」という薬が効かな

い場合、加齢に伴い攻撃役の免疫細胞がうまく育たなくなった「免疫老化」が原因の可能性があると

するマウス実験の結果を、京都大の本庶佑特別教授、先端医療研究センター(神戸市)の仲島由佳研

究員らが1日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 

 高齢マウスに人間の細胞を投与することで強烈な刺激を加えると、体内のT細胞という免疫細胞が

未熟な状態から攻撃役の「エフェクターT細胞」に成長し、薬の効果が出ることも分かった。チーム

は、薬が効かなかったがん患者に他人の細胞を投与し、改めて薬を使ってもらうことで、治療を可能

にする臨床試験を構想中だとした。

 

 免疫チェックポイント阻害剤は本庶氏のノーベル医学生理学賞の受賞理由になった発見を基に開発

された。一部の患者には高い効果を示す一方、半分以上の患者には効かず、この違いが生じる原因の

探求が続いている。

 

 実験では、若いマウスと高齢マウスにがん細胞を移植。体内の免疫細胞の構成を調べると、未熟な

T細胞からエフェクターT細胞になる途中段階の細胞が高齢マウスでは若いマウスの半分以下しかな

かった。異物に敏感に反応し攻撃態勢を整える力が、老化で落ちていることがうかがえた。

 

 そこで高齢マウスに人の細胞を投与して免疫を強く刺激したところ、10日後にはエフェクターT細

胞が増加。この状態でがん細胞を移植し薬を投与すると、移植から4週間後の時点で、がんの体積は

人の細胞を投与していない高齢マウスの6分の1に抑えられていた。

 

(共同通信社 2021年6月1日)

血液で乳がんを早期発見 シンプルで負担少ない検査法 鹿児島県内で臨床試験 国立がん研究センターなど

 国立がん研究センターなどは、血液から乳がんを早期発見する検査法の開発を目指し、鹿児島県内

で臨床試験を始める。血液中の微小な物質「マイクロRNA」を測定する。関係者が15日、県庁で会

見し「実用化すれば、簡便で体への負担が少ない検査法になる」として協力を呼び掛けた。

 

 通常の検診で使われるマンモグラフィーは痛みを伴い、放射線の被ばくも懸念される。日本の乳が

ん検診の受診率は約4割で、約7割の欧米より低く、より簡単で安全な検査法が求められている。

 がん研究センターを中心とするグループは、がんの発生を制御していると考えられる「マイクロ

RNA」に着目。1回の採血から早期にがんを見つけるシステムを開発してきた。がん細胞から血液に

漏れ出る微量のマイクロRNAを検出し、がんの有無を調べることを目指している。

 

 臨床試験は5月から本格化し、対象は県民総合保険センター(鹿児島市)の乳がん検診を受ける40

〜69歳の女性。同意者には採血と同時にマンモグラフィー検査と超音波検査を受けてもらう。画像

検査と結果を比較し、早期発見マーカーとしての性能を検証する。本年度中に北海道、福井、愛媛を

含む4道県で計3000人を集める計画。

 

 試験に携わる国立国際医療研究センターの下村昭彦医師は「血液検査で画像診断を受けた方がいい

と分かれば、マンモグラフィーをためらう人にも検査を勧めやすくなる」と話した。

 

(南日本新聞 2021年4月19日)

細胞内の鉄分減少で肝臓がん抑制 川崎医大・日野教授ら確認

 川崎医科大(倉敷市松島)の日野啓輔・肝胆膵内科学教授らのグループは、薬剤で細胞内の鉄分を

減らすと特殊なタンパク質が増え、機能が衰えた小器官「ミトコンドリア」の分解を促し、肝臓がん

の発生を抑制することをマウスによる研究で突き止めた。肝臓がんなどの新たな治療法の開発につな

がる成果という。

 

 ミトコンドリアは、細胞の働きに必要なエネルギーを作っているが、機能が低下すると遺伝子を損

傷させ、がんなどの病気を引き起こすことがある。

 

 グループは、細胞内の鉄分を減らす薬剤「鉄キレート剤」が、衰えたミトコンドリアの排除を促す

という他のグループの研究に着目した。肝臓がんにしたマウス12匹にこの薬剤を投与して16~30週

後に分析。投与しなかった場合に比べ、がんの数が平均80%以上減り、直径も同60%以上小さくな

る効果を確認した。

 

 詳しく調べたところ、いずれもタンパク質「ミトコンドリアフェリチン」が増え、衰えたミトコン

ドリアの分解を促進させていた。このタンパク質の発生を抑えるよう処置すると、がん抑制効果も消

えたという。

 

 ミトコンドリアはあらゆる細胞に存在。日野教授は「肝臓がんだけでなく、他のがんにも応用でき

ると考えており、研究を進めたい」としている。

 

 研究成果は昨年9月、欧州の科学誌電子版に掲載された。

 

(山陽新聞 2021年3月8日)

進行前立腺がん治療、有効物質を特定 金大グループ

 金大がん進展制御研究所の河野晋特任助教らのグループは、進行した前立腺がんの新しい治療薬と

なる化合物を特定した。スパイスとして使われるブラッククミンの種に含まれる「チモキノン」とい

う成分で、がんの成長を助ける遺伝子異常の弱点を突いて細胞死させる薬として期待される。他のさ

まざまながんの治療にもつながる。

 

 前立腺がんは進行して他の臓器に転移する段階になると、3割程度の割合で「RB1」という遺伝子

が消えてしまう。この遺伝子はがんを抑制する働きを持ち、一般的に欠失するとがん細胞の増殖を助

けることになる。

 

 一方で、RB1がなくなると「SUCLA2」という別の遺伝子もなくなることが分かった。グループ

は、この「SUCLA2」の欠失に着目し、これを標的とする化合物を探った。約2千種類を調べた結

果、チモキノンに効果があり、がん細胞を攻撃して細胞死させることを突き止めた。

 がんの成長を助けるはずのRB1欠失は、同時にSUCLA2欠失を引き起こすため、かえってがんの

弱点となることが明らかとなった。

 

 信仰前立腺がんは男性ホルモンを抑える薬で治療する場合が多い。ただ、続けていると効果が薄れ

るケースがあり、新しい治療法の開発が課題となっている。

 

 グループによると、遺伝子の欠失を標的としたがん治療薬の実用例は少なく、河野特認助教は研究

の成果について「効き目のある化合物を特定できたことを含めて意義は大きい」と強調する。

 

 チモキノンはキンポウゲ科の植物ブラッククミンの種に含まれる。種はスパイスになるほか、種か

ら抽出されるオイルも食用に使われている。マウスを使った実験では、チモキノンを注射するとがん

が大きくならないことを確認しており、グループは現在、治療薬の開発へ研究を進めている。

 

 指導役を務める高橋智聡教授は「SUCLA2遺伝子の欠失が現れる幹細胞がんなどの治療にも効果が

期待できる」と話した。

 

(北國新聞 2021年1月5日)

乳がん発症の一因解明 九州大、抑制遺伝子の欠陥

 乳がんを発症する要因の一つが、乳腺細胞内でのがん抑制遺伝子の欠陥であることを九州大の中山

敬一主幹教授(分子生物学)らの研究グループが解明し、米科学誌に25日発表した。この遺伝子の欠

損により、多様ながん細胞が発生することも判明。将来、効果的な治療法の開発につながる可能性が

あるという。

 

 遺伝子は「Fbxw7」という名称で、がん発生につながるタンパク質を分解する役割がある。全身に

存在するが、臓器によって遺伝子の機能とがん発症のメカニズムは異なるという。

 研究グループは、乳腺細胞内でこの遺伝子を壊したマウスを作成。経過を観察すると、乳腺にがん

細胞が発生した。また腫瘍内を分析すると、さまざまな異なるタイプのがん細胞が存在していること

も分かった。

 

 多様ながん細胞があると、一度の治療ですべての細胞を死滅させることが難しく、再発や治療薬が

十分に効果を発揮しない原因になる。

 

 中山教授は「今後、がん発生につながるタンパク質の抑制方法を解明し、効果的な治療方や薬の開発につなげていきたい」と話した。

 

(共同通信社 2020年11月25日)

難治性胃がんの細胞、血液で発見 大阪市立大が成功

 胃がんの中でも治療が難しいタイプのがん細胞を血液で見つけることに成功したと、大阪市立大の

研究グループががん研究の専門誌で発表した。早期の発見や、開発中の新薬を使うかどうかの判断に

使えるようになる可能性があるという。

 

 一般的な胃がんよりも治療が難しいスキルス胃がんや胆管がんのうち、1~2割は細胞表面にある

「FGER2」というたんぱく質の異常によって、がん細胞の増殖が起きているとされる。

 

 研究グループは同市大病院で治療を受けた胃がん患者に協力してもらい、血液の提供を受けた。そ

して、「FGER2」にくっつく抗体という別のたんぱく質を使い、血液中に漂っているがん細胞をと

らえる技術を開発した。FGER2が血中で見つかった患者は、見つからなかった患者よりもがんが再

発しやすかった。

 

 FGER2は早期がんの段階でも血中に現れることがあり、血液を調べることで早期発見につなげら

れる可能性があるという。

 

 現在、FGER2の働きを邪魔する新しい分子標的薬の開発が国内外で進んでいる。今は手術などで

採取したがん組織を調べ、FGER2が見つかれば薬を使うといった判断をしている。チームの八代正

和研究教授は「さらに研究を続け、血液を見るだけで判断できるようにしたい」と話す。

 

(朝日新聞 2020年10月27日)

がん進行に特定化合物関与 鹿児島大など仕組みを一部解明 国際専門誌に掲載

 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科は13日、がん細胞からがんの進行を引き起こす物質が放出され

る仕組みの一部を解明したと公表した。14日、米国の国際専門誌「セルリポーツ」に掲載される。が

んの新たな治療法開発に貢献することが期待される。

 

 研究は大阪国際がんセンター糖鎖オンコロジー部の原田陽一郎チームリーダーを中心に、同大学院

や理化学研究所など4機関が共同で行った。

 

 2015〜19年に同大学院システム血栓制御学講座に在籍していた原田チームリーダーは、皮膚がん

が増殖・転移する際にがん細胞から放出され、正常な組織に影響を与える「非エクソソーム小胞」と

呼ばれる細胞外小胞に着目。この小胞の形成過程で、特定のアミノ酸に結合する「糖鎖」と呼ばれる

化合物が関与していることを明らかにした。

 

 糖鎖の結合を阻止することで小胞の形成を阻害できれば、皮膚がんの増殖や転移を抑えることが期

待できる。

 

 研究に携わった同大学院皮膚科学の金蔵拓郎教授は「今回は皮膚がんに対する研究の成果だが、他

の固形がんも同じ仕組みで増殖・転移している可能性がある」と話し、「この研究結果が創薬や新た

な治療法の開発につながれば」と述べた。

 

 足かけ6年の研究が一定の評価を得たことに、原田チームリーダーは「とてもうれしい。だが、が

んの研究は遺伝子やタンパク質などの他の分野に集中している。糖鎖にもっと注目してもらえるよう

研究に励みたい」と語った。

 

(南日本新聞 2020年10月15日)

転移の膵がん、有効治療 富大・藤井教授ら7大学研究

 富大学術研究部医学系の藤井努教授らの研究グループは、これまで有効な治療法がなかった腹部に

転移した膵がん(ステージ4)に対し、点滴による化学療法と、腹腔内に抗がん剤を直接投与する治

療法を組み合わせ、高い効果が得られることを明らかにした。重症化した膵がんへの新たな治療法と

して期待される。

 

 膵がんは早期発見が難しく、診断がなされた時にはすでに転移が進んでいることが多い。これま

で、腹膜に転移した膵がんに対する有効な治療法はなく、手術を行うことも難しかった。

 

 藤井教授らは、46人の患者に対して臨床試験を行い、17%の患者で腹膜の転移が消失し、膵がん

の切除手術が可能となるなど、高い治療効果を得られることを確認した。大きな副作用はなかった。

 

 研究は富大と関西医科大、名古屋大、東北大、北海道大、広島大、愛媛大の7大学による研究グル

ープが行い、研究成果は8日、国際科学雑誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・サージャリー」

に掲載された。

 

(北国新聞 2020年7月9日)

膵臓がんになりやすい遺伝子異変を発見 日本人の1割に

 膵臓がんのなりやすさに関連する遺伝子変異を見つけたと、愛知県がんセンター(名古屋市千種

区)が発表した。この変異は西洋人ではほとんどないが、東アジア人にはあり、日本人では約1割が

持っていると推定されるという。

 

 同センターや愛知医科大、名古屋大などの研究チームは、膵臓がんの患者約四千人と、がんではな

い約四万1500人を対象に、全ゲノムを網羅的に解析。16番染色体にある「GP2」と呼ばれる遺伝子

の変異が、膵臓がんのリスクを上昇させていることを突き止めた。

 

 GP2は、主に膵臓に存在するたんぱく質。変異によってアミノ酸配列に違いができ、たんぱく質の

働きが変化してリスクが上がった可能性があるという。

 

 膵臓がんは早期発見が難しいがんの一つで、愛知県がんセンターの松尾恵太郎・がん予防研究分野

長(分子疫学)は「GP2を標的にした治療や予防ができれば、膵臓がんを減らすことができる」と話

している。

 

 科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに論文が掲載された。

 

(朝日新聞 2020年7月2日)

ph変化で細胞増殖 群馬大研究グループ がん制御の解明に期待

 群馬大生体調節研究所の研究グループは25日、ヒトを含む動物組織の細胞の内外で通常は中性に保

たれている水素イオン指数(ph)が変化することで、細胞の増殖や分化が強力に促されることを発

見したと発表した。ph変化と組織の成長に密接な関わりがあると突き止めた。ph変化はがん細胞

でも起きることが知られていたが、その影響は不明だった。研究グループは、がん細胞の爆発的な増

殖を引き起こす要因の一つではないかと推測。研究を深めれば、がん細胞を制御する仕組みの解明が

進むと期待している。

 

 ph変化に着目して動物の体の発生過程を検証した。ニワトリの胚の「尾芽領域」から成長を促す

情報が発信され、数日のうちに体幹部が形成される現象が起きているとき、尾芽領域の細胞内がアル

カリ性になりがん細胞に似たph変化を起こしていることを解明した。

 

 このph変化が迅速な体幹部の形成を促していることを突き止めた上で、ヒトのiPS細胞でも同様

の変化が起きて成長を促していることを解明した。

 

 研究グループは同研究所の荻沼政之助助教、石谷太教授ら。筆頭著者の荻沼助教は「よく知られた

phというものが、動物の体の発生に重要な役割を持っていることが分かった。がん細胞におけるp

h変化の意味を知るヒントも得られた」と述べた。

 

 論文は25日(日本時間)に英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 

(上毛新聞 2020年6月26日)

原発不明がんに免疫治療薬 近畿大、有効性を初確認

 転移した状態で見つかり、最初にできた臓器が分からない「原発不明がん」患者に、がん免疫治療

薬「オプジーボ」が有効だと初めて医師主導治験で示したと、近畿大の林秀敏講師(腫瘍内科学)ら

のチームが31日、米臨床腫瘍学会のシンポジウムで発表した。

 

 既に抗がん剤による治療歴がある患者45人に投与すると、10人(22%)でがんの面積が半分以下

になった。

 

 原発不明がんはがん全体の2~5%を占め、診断から5年後の生存率は2~6%と極めて治療が難し

い。チームは「オプジーボが(科学的根拠に基づいて勧められる)標準治療になることが期待でき

る」としている。

 

 チームの解析では、効果は半数の人で1年を超え、最もよく使われる抗がん剤2種類の併用療法の

4~7ヵ月に比べて長かった。治験には他に、治療開始前の11人も参加。投与後に2人のがんが半分以

下に縮んだ。

 

 オプジーボは免疫細胞にがんを攻撃させる薬で、皮膚や肺などのがんに使われる。ノーベル医学生

理学賞の本庶佑京都大特別教授らの研究成果を基に開発された。

 

(共同通信社 2020年6月1日)

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