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腫瘍免疫薬候補EP4拮抗薬の治験開始

 小野薬品工業は、腫瘍免疫治療薬候補であるEP4拮抗薬「ONO−4578(開発コード)」の

治験を国内で開始した。同社が自社創製した腫瘍免疫治療薬の臨床段階入りは、抗PD−1抗体「オ

プジーボ」(一般名・ニボルマブ)に次いで2つ目。低分子化合物としては初めてとなる。将来的に

はEP4拮抗薬と抗PD−1抗体の併用療法の開発も視野に入れている。同社は腫瘍免疫領域のトッ

プランナーとして同2剤に続く薬剤の開発も加速していく方針。

 

 ONO−4578の国内第1相臨床試験(P1)を1月から開始した。まずは単剤投与試験で同剤

の安全性を確認する。

 

 同剤は生理活性物質であるプロスタグランディンE2(PGE2)の受容体の一つであるEP4の

拮抗薬。腫瘍の微小環境では、がん細胞がPGE2を産出している。PGE2の受容体が単球上にあ

るEP4で、PGE2と結合して活性化すると単球が免疫抑制作用を有するM2型マクロファージへ

と分化してしまう。同剤はEP4受容体を選択的に阻害することでM2型マクロファージを減らし、

がん細胞を攻撃する細胞障害性T細胞(CTL)が働けるようにする。

 

 小野薬品が自社創製した腫瘍免疫治療薬の臨床段階入りは、免疫チェックポイント阻害剤・抗PD

−1抗体オプジーボに続く2例目。同剤の腫瘍免疫領域の低分子化合物としては初となる。

 同社は「化合物オリエント」と呼ばれる独自の創薬手法を展開してきた。疾患領域を特定せずに整

理活性物質などから創製した化合物が有効性を示す疾患を探索して製品化するもので、とくにプロス

タグランディンに関連した創薬に強みを持つ。

 

 ONO−4578も同社が長年培ってきたプロスタグランディン創薬の知見を腫瘍免疫領域に応用

して開発した。

 

 同社の相良良暁社長は同剤について、「現時点ではオプジーボのように腫瘍免疫領域の主役となる

薬剤にはならないかもしれないが、他の薬剤と併用することで抗腫瘍効果を高める薬剤になるだろ

う」と期待を込める。将来的にはオプジーボとの併用療法の開発も検討する。また、同社は複数の腫

瘍免疫治療薬候補も開発中。「まだアーリーステージだが、開発を加速していきたい」(相良社長)

としている。

 

(化学工業日報 2017年2月28日)

レゴラフェニブ、米でHCC優先審査へ

 独バイエルはこのほど、経口マルチキナーゼ阻害剤「レゴラフェニブ」について、切除不能な幹細

胞がん(HCC)に対する二次治療の医薬品承認事項一部変更申請(sNDA)で米食品医薬品局

(FDA)から優先審査の指定を受けたと発表した。レゴラフェニブは転移性大腸がん(CRC)と

切除不能および転移性消化管間質腫瘍(GIST)の適応で、米国をはじめ多くの国で「スチバーガ

錠」(製品名)として承認されている。

 

 今回の承認申請は国際共同、多施設、プラセボ対照第3相臨床試験「RESORCE」から得られ

たデータを根拠としている。日本と欧州連合(EU)の規制当局にもHCCの二次治療に対する適応

で承認申請しており、ほかの国々でも承認申請を進めている。

 

(化学工業日報 2017年1月27日)

乳癌対象に国内でADC製剤のP1/2実施

 第一三共は19日、自社の抗体薬物複合体(ADC)技術を応用した抗がん剤「U3−1402」

についた、乳がんを対象とする第1/2相臨床試験(P1/2)を日本で開始したと発表した。同剤を

用いた最初の臨床試験。P1で安全性や推奨用量を検討し、P2で安全性、有効性を評価する。

 

 HER3陽性の難治性・転移性乳がんを対象とするP1/2を始めた。目標症例数は約80例。P

1のパート1で安全性、忍容性、最大耐用量を評価し、パート2でP2の推奨用量を決める。推奨用

量でP2を行い、安全性、有効性を評価する。まずは日本のみで行い、結果をみて米国などでも試験

を行う予定。

 

 U3−1402は、がん細胞を攻撃する化学療法剤「トポイソメラーゼ1、阻害薬」と抗HER3

抗体を結合させたADC製剤。第一三共にとって臨床試験入りした2つ目のADC。肺がんでも開発

を検討しており、チロシンキナーゼ阻害剤が効かなくなったEGFR変異型の非小細胞肺がんにも有

効な可能性があると期待している。

 

(化学工業日報 2017年1月21日)

遺伝子調節異常、がん発症の一因に 京都大iPSグループ解明

 がんの発症には遺伝子の変異だけでなく、遺伝子の働きを調整する仕組みの不具合も関与しているこ

が、京都大iPS細胞研究所の山田康広教授や橋本恭一・元大学院生、山田洋介研究員のグループの研究

分かった。がんの新たな治療法の開発につながる成果で、米国アカデミー紀要でこのほど発表した。

 

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、遺伝子の働きを調節する仕組み「エピジェネティクス」が初期化さ

れることによってできる。

 

 グループは、特定遺伝子の変異が原因で大腸がんを発症したマウスのがん細胞について、iPS細胞を作

製する手順を応用して初期化すると、再びがんになりにくくなることを実験で確かめた。がん細胞に

エピジェネティクスの不具合があったが、初期化によって不具合が解消されたためにがん化が抑制され

とみている。

 

 山田教授は「細胞は遺伝子の変異があっても、エピジェネティクスを正常にすることでがん化が抑え

られることが明らかになった。薬剤などで制御することができれば、がんの発症や進行も抑制できると

考えられる」と話している。

 

(京都新聞 2017年1月6日)

悪性脳腫瘍の細胞増殖に関わる分子発見 名古屋市大など

 名古屋市立大学などの研究グループは、悪性脳腫瘍の一種「膠芽腫」で、がんの元になる「がん幹細

胞」の増殖に関わる分子を突き止めたと発表した。がん治療薬の開発につながる可能性があるという。

研究成果が6日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に掲載された。

 

 膠芽腫は国内で年間薬監3千〜5千人が発症し、悪性の脳腫瘍の中で最も多い。しかし、治療薬が少

ないという。

 

 研究グループは、脳のがん幹細胞に、DNAの仲間で遺伝子の働きを調節する役割を持つ「TUG

(タグ)1」が多いことを発見。TUG1は、がん細胞の増殖を支えたり、核の中で650の遺伝子に

くっついたりして、正常な神経細胞に分化することも分かった。

 

 さらに、グループは、がん細胞の周囲にできた新たな血管の壁に広い隙間ができることを利用し、が

ん細胞にだけ薬を届ける薬も作った。がん細胞の血管を通り抜ける大きさに設計した運び屋をつくり、

TUG1の働きを抑える薬と組み合わせた。これをがん幹細胞を移植したマウスの静脈に週2回、1ヶ

月間注射したところ、治療をしなかったマウスに比べてがん細胞が180分の1に小さくなっていたという。

 

 名古屋市立大学の近藤豊教授は「TUG1の働きを抑えるとがん細胞の縮小につながることが分かった。

治療薬の実用化に向けてさらに研究を続けている」と話している。

 

(朝日新聞 2016年12月14日)

アドセトリス、P3結果で優位性

 武田薬品工業と米シアトル・ジェネティクスは、米国で開催された第58回米国血液学会(ASH)

年次総会で、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を対象に実施した悪性リンパ腫治療薬「アドセトリス」

第3相臨床試験(P3)の結果を発表した。標準治療と比較した試験で、すべての評価項目でアドセト

リスが有意に優れていることを示す結果を得た。

 

 全身療法/放射線療法の治療歴があり、CD30が陽性のCTCL患者を対象に行って欧米のP3試験

(ALCANZA試験)。アドセトリスを単剤投与したケースと、標準治療であるメトトレキサート/ベ

キサロテンを投与した場合について有効性、安全性を比較した。

 

 主要評価項目のうち、4カ月以上の持続的な客観的奏効率についてアドセトリスが標準治療を有意に

上回ることはすでに発表しているが、ほかの主要評価項目、副次評価項目も統計学的有意に優れたデー

タを得た。両社は来年上半期にもCTCLの適応追加を米国食品医薬品局(FDA)に申請する予定。

 

(化学工業日報 2016年12月9日)

新規抗血液癌薬のP1結果良好

 第一三共は、自社創薬した抗がん剤候補「DS−3032」の第1相臨床試験(P1)結果を公表した。米国で行った試験で、P2で使う推奨用量や安全性、忍容性を確認した。このほど開催された第58回米国血液学会で試験データを発表した。再発性/難治性の急性骨髄性白血病(AML)、高リスクの骨髄異形形成症候群(MDS)を対象に米国で行ったP1で、用量漸増パートの安全性や有効性の予備的データを公表した。

 

 AML、MDS患者37人に投与した結果、5人に副作用による用量制限毒性が認められた。有効性評価では、15人に骨髄芽球の減少がみられ、3人に完全寛解が認められた。同社は、この試験結果をもとに推奨用量を決定してP2へ進める予定。

 

 DS−3032は、がん抑制因子「p53」と、p53の作用を抑制するたんぱく質「MDM2」の結合を阻害する働きを持つ。第一三共は固形がんとリンパ腫を対象にしたP1も日米で行っている。

 

(化学工業日報 2016年12月9日)

新抗癌剤、HER2陽性乳癌でFT指定

 第一三共はこのほど、自社創薬した抗体薬物複合体(ADC)製剤の抗がん剤「DS−8201」が、HER2陽性の転移性乳がん治療を対象に米国食品医薬品局(FDA)のファストトラック(優先承認審査)指定を受けたと発表した。優先的にFDAと協議することが可能になり、製品化までの期間短縮につながる可能性がある。

 

 先ごろ実施した第1相臨床試験(P1)のパート1試験(用量漸増試験)の結果をもとに、ファストトラック指定された。指定されると新薬として承認申請する前から頻繁にFDAと協議を行える。

 

 パート1試験は、スイス・ロシュ/中外製薬が開発した別のADC「T−DM1(開発コード)」などの前治療歴があるHER2陽性の転移性乳がんなどを対象に行い、有効性、安全性について良好なデータを得た。現在はパート2試験(症例拡大試験)を日米で実施している。

 

(化学工業日報 2016年12月6日)

抗PD−1抗体が米でMCC適応申請

 独メルクと米ファイザーはこのほど、共同開発している免疫チェックポイント阻害薬の抗PD−1抗体「アベルマブ(一般名)」について、メルケル細胞がん(MCC)治療薬としての新薬承認申請が米国食品医薬品局(FDA)に受理されたと発表した。優先審査などに指定されており、来年中にも審査結果が出る見込み。抗PD−1/PD−L1抗体としては米国で4番手。MCC治療では初の同抗体となる。

 

 転移性MCCの治療薬として独メルクが承認申請し、このほどFDAに受理された。原則として審査期間が6カ月に短縮される優先審査のもと審査が進められる。承認審査が優先される希少疾病用医薬品指定、ファストトラック指定、ブレークスルー・セラピー指定も受けている。また、欧州でも先月末、MCC治療薬として欧州医薬品審査庁(EMA)が販売承認申請の審査を始めたと発表した。

 

 MCCを対象としたグローバルで実施した第2相臨床試験「JAVELIN Merkel200」の結果をもとに欧米で申請した。同試験には日本も参加した。メルクセローノ日本法人では、早ければ来年下半期には日本でも承認取得を目指す考えを明らかにしている。

 

 MCCは悪性度の高い皮膚がんの一種。欧米では毎年薬監5000人が罹患するとされている。

 

(化学工業日報 2016年12月5日)

細胞癌化させる新遺伝子発見

 九州大学は11月18日、細胞をがん化させる新しいがん遺伝子「GRWD1」を世界で初めて発見したと発表した。この研究は、同大学薬学研究院医薬細胞生化学分野の藤田雅俊教授、同大学生体防御医学研究所の中山敬一教授、国立がん研究センター研究所の清野透分野長らの研究グループによるもの。研究成果は、分子生物学会誌「EMBO Reports」に11月17日付けでオンライン掲載されている。

 

 がん細胞においては、p53と呼ばれる細胞増殖の”ブレーキ”役であるタンパク質の異常が頻繁に起こっていることが知られている。しかし一方で、p53に異常のないがん患者も多く存在している。

 

 正常に増えている細胞中では、p53タンパク質はMDM2というタンパク質の働きで分解されている。細胞が異常な増殖刺激やDNAダメージなどのストレスに晒された場合、RPL11というタンパク質がMDM2に結合しその機能を抑える。その結果、p53量が増加し、細胞の増殖を止めて異常を修復したり、修復しきれない場合は細胞を自殺させ、がん化を防いでいる。

 

 研究グループは今回、GRWD1がRP11というタンパク質との結合を介してp53タンパク質量を減少させ、細胞のがん化を促進させることを初めて明らかにした。さらに、がん患者のデータベースの解析から、いくつかのがんの種類においては、GRWD1タンパク質量の増加はがんの悪性度を上昇させ、予後不良の予測因子となり得ることを発見したとしている。

 

 今後の研究の発展によって、GRWD1発現検査によるがん治療方針のより適切な決定や、GRWD1を標的とする新たな抗がん剤開発につながることが期待されると、研究グループは述べている。

 

(QLifepro医療ニュース 2016年11月24日)

固形癌治療薬候補、米でP1開始

 協和発酵キリンは、腫瘍免疫領域の開発を強化する。自社創薬のIDO1(インドールアミン酸素添加酵素1)阻害薬「KHK2455」(開発コード)について、米国で第1相臨床試験(P1)を開始した。もう一つの腫瘍免疫治療薬候補である抗CCR4抗体モガムリズマブとの併用試験で、固形がんを対象にしている。同社の腫瘍免疫治療薬候補の臨床段階入りは、モガムリズマブに次いで2つ目となる。

 

 同P1は8月から開始した。局所進行または転移性の固形がん患者を対象にKHK2455とモガムリズマブの併用療法を開発する。まずはKHK2455単剤での安全性を確認し、その後、併用療法での安全性を検証する。治療患者登録数は50人、2019年8月に治験終了の予定。

 

 KHK2455は、がん細胞が産生する免疫抑制因子の一つであるIDO1を抑制することで、がん免疫応答を増強させる薬剤。IDO1は、必須アミノ酸であるトリプトファンを代謝しキヌレニンを産生する酵素で、さまざまな種類のがん細胞に発現している。IDO1はキヌレニン産生を通じて細胞損害性T細胞(CTL)の機能を抑制することが分かっている。IDO1を阻害することでCTLが働けるようになることが期待されている。

 

(化学工業日報 2016年11月4日)

乳癌治療薬候補、P3でPFS有意に延長

 大塚製薬は19日、英子会社アステックスがスイス・ノバルティス」との共同研究で見いだしたCDK4/6阻害薬ribociclib(開発コード・LEE011)の進行性・転移性乳がんを対象とした第3相臨床試験(P3)で、がんが進行せず安定した状態である無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示されたと発表した。

 

 同剤は英アステックスとの共同研究を基に、ノバルティス バイオメディカル研究所(NIBR)が開発した化合物。HER2−(ヒト上皮成長因子受容体2陰性)/HR+(ホルモン受容体陽性)の乳がん患者を対象に、標準治療薬のレトロゾール単独群と、ribociclibとレトロゾール併用群とを比較して主要評価項目であるPFSを有意に延長した。18カ月時点のPFS患者の割合はribociclib/レトロゾール併用群では63%、レトロゾール単独群では42.2%だった。

 

 同試験結果は第41回欧州癌治療学会議(ESMO2016)で発表された。

 

(化学工業日報 2016年10月21日)

乳癌・胃癌で新ADC製剤のP1結果良好

 第一三共は11日、自社創薬した抗がん剤の抗体薬物複合体(ADC)製剤「DS−8201a」について、第1相臨床試験(P1)のパート1試験で、乳がん患者などに対する有効性、安全性について良好なデータが得られたと発表した。デンマークで開催中の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で試験データを報告した。

 

 P1試験のうち、日本のみで実施したパート1試験の結果を発表した。乳がん、胃がんを対象とし、主要評価項目は最大耐用量を決定するための安全性と忍容性。乳がん患者16人を含む患者22人の解析では、設定した投与量では最大耐用量に到達せず、用量制限が必要な毒性は観察されなかった。薬物動態プロファイルも良好だった。

 

 また、スイス・ロシュ/中外製薬の「カドサイラ」(トラスツズマブとエムタンシンのADC)による治療歴がある患者や、HER2の発現量が低い患者を対象にしたサブ解析では高い病勢コントール率が示された。

 

 DS−8201aは第一三共が自社創薬した抗がん剤のADC製剤。現在は乳がん、胃がん以外のがん種も対象にしたパート2試験を日本、米国で実施している。

 

(化学工業日報 2016年10月13日)

癌幹細胞性阻害剤の国際P3結果を公表

 大日本住友製薬は6日、がん幹細胞性阻害剤「ナパブカシン(一般名)」(開発コード・BBI608)の進行性結腸直腸がん(単剤)を対象とした国際共同第3相臨床試験(P3)「CO.23」試験に関する最終解析結果を公表した。

 

 2013年4月から14年5月に282人の患者がランダム化(ナパブカシン138人、プラセボ144人)されたが、中間解析の結果、盲検を解除し、新規患者登録とプロトコルに沿った投与継続を中止した。全症例(ITT集団)におけるナパブカシン群とプラセボ群におけるOS(全生存期間)、PFS(無増悪生存期間)、DCR(病勢コントロール率)に有意差は認められなかった。

 

 プラセボ群よりも多く観察された有害事象は下痢、吐き気、食欲不振など。投与8週時点の「EORTC QLQ−C30」による身体機能に関するQOL(クオリティ・オブ・ライフ)調査では有意差が認められた。p−STAT3を測定した251人のうち55人が陽性。プラセボ群では陽性患者は予後不良だったが、ナパブカシン群では陽性患者でOSの有意な延長が認められた。

 

 解析結果は7〜11日までデンマーク・コペンハーゲンで開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の「2016年年次総会」で発表される。

 

(2016年10月11日)

レンバチニブ腎細胞癌1次治療でP3

 エーザイは9月30日、自社創薬のマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブについて、進行性腎細胞がんの1次治療を対象としたグローバル第3相臨床試験(P3)を開始すると発表した。抗がん剤エベロリムス、抗PD−1抗体ペムブロリズマブとの各併用療法を同時に開発する。2019年度第4四半期にトップラインデータ取得を計画している。

 

 同P3は、進行性腎細胞がんの患者を対象にレンバチニブ/エベロリムスとレンバチニブ/ペムブロリズマブ併用投与群の2群と、1次治療の標準療法であるスニチニブ単剤投与群との有効性と安全性を比較する多施設共同、無作為化、非盲検試験。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)に設定している。登録患者数は735人で、3群を1:1:1の割合で割り付ける。日本での患者登録も検討中。

 

 レンバチニブ/エベロリムス併用の非臨床試験では、レンバチニブエベロリムスが腫瘍血管新生に関与するシグナル伝達経路の上流であるVEGFR(血管内皮増殖因子受容体)、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)を、エベロリムスが下流であるmTORをそれぞれ抑制することで、血管新生阻害の相乗的な増強や、腎細胞がんに対して単剤より強い増殖阻害を示すことが報告された。

 

 レンバチニブエベロリムス/抗PD−1抗体併用の非臨床試験では、レンバチニブエベロリムスが免疫抑制性の腫瘍関連マクロファージを現象させ、抗PD−1抗体の抗腫瘍活性を有意に増強するという併用メカニズムが示唆されている。

 

 レンバチニブの腎細胞がんの適応については、米国と欧州でエベロリムスとの併用療法による2次治療での承認を取得している。

 

(化学工業日報 2016年10月4日)

MM薬カイプロリス、P3で有意差なし

 米アムジェンは、多発性骨髄腫(MM)治療薬「カイプロリス」(一般名・カルフィルゾミブ)について、未治療のMM患者を対象に行った第3相臨床試験(P3)で主要評価項目を達成できなかったと発表した。武田薬品工業などが販売している類似薬「ベルケイド」との比較で、無増悪生存期間(PFS)の優越性が示されなかった。

 

 新たにMMと診断され、造血幹細胞移植が不適応な患者を登録した国際P3(CLARION試験)。日本も試験に参加した。メルファラン、プレドニゾロンと併用する治療薬として、両剤とベルケイドを併用する治療法と比較した。主要評価項目としていたPFS(中央値)は、カイプロリス群が22.3カ月、ベルケイド群が22.1カ月と有意差がなかった。全生存期間(OS)も現時点のハザード比は1.21で有意差が示されなかった。グレード3では、ベルケイドに対する優越性を示すデータを得ていた。

 

 MMのファーストライン適応でベルケイドと比較する試験は医師主導治験でも行われており、アムジェンはこの治験データを活用して適応拡大を図る方針。

 

 カイプロリスは第2世代のプロテアソーム阻害剤。米国では第1世代のベルケイドの特許切れが迫っており、アムジェンは同剤に対する優越性を確立したい考え。

 

(化学工業日報 2016年9月30日)

腎癌薬「レンバチニブ」欧州も承認

 エーザイは15日、自社創薬の新規抗がん剤「レンバチニブ(一般名)」が欧州委員会から進行性腎細胞がんの適応で承認を取得したと発表した。欧州の腎細胞がん適応については「キスプリクス」の製品名で発売する。レンバチニブの腎細胞がん適応は、米国に続いて2番目の承認取得となる。

 

 「血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とした薬剤の前治療歴を有する成人での進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応で承認を取得した。腎細胞がんの2次治療以降に使用できる。レンバチニブは、グローバルにおける甲状腺がん適応と米国での腎細胞がん適応については「レンビマ」の製品名で販売している。

 

(化学工業日報 2016年9月20日)

肺がん細胞、抗がん剤から生き延びる新たな仕組み発見…北大

 肺がんの細胞が、免疫細胞の働きを抑えるなどして抗がん剤から生き延びる新たな仕組みを、北海道大学の清野研一郎教授(免疫生物学)らが発見して、米がん専門誌に発表した。

 

 清野教授らは、抗がん剤への耐性を獲得したがん細胞周辺に、体内に侵入した異物を食べる白血球の一種「マクロファージ」が集まり、中でも他の免疫細胞の働きを抑えるタイプが多いことに注目。こうしたタイプを誘導するたんぱく質「インターロイキン(IL)34」と肺がん細胞の関係を調べた。

 

 通常の肺細胞と、抗がん剤と一緒に6か月間培養して生き残った耐性細胞とで、IL34を作る量を比較。通常のがん細胞はIL34を出さないが、耐性細胞は大量に出すことがわかった。耐性細胞はIL34を使って、マクロファージを免疫細胞の働きを抑えるタイプに変換するとともに、自らの生き残る力を高めることも分かった。

 

 マウスの実験で、IL34の働きを抑えると、耐性細胞でも抗がん剤が効きやすくなることも確認した。清野教授は「今回の耐性獲得の仕組みはこれまで知られていたものとは違う。新たな治療薬の開発につなげたい」と話している。

 

(読売新聞 2016年8月30日)

国立がん研、大腸がん抑制物質作製…新薬候補に

 大腸がん再発の原因となる「がん幹細胞」の働きを抑える候補物質を新たに作製したと、国立がん研究センターなどの研究チームが発表した。

 

 大腸がんの新たな治療薬として数年後の実用化を目指すという。

 

 がん幹細胞は「がんの親玉」ともいわれる細胞で、通常のがん細胞より増殖能力が高く、抗がん剤が効きにくいため、再発・転移の原因になっている。

 

 大腸がんの細胞増殖と幹細胞の発生には、特定の酵素が作用していることが分かっており、研究チームは、この酵素の働きを止める新しい化合物を作製。人間の大腸がんの細胞を移植したマウスに、この化合物を飲ませたところ、幹細胞による増殖を高い割合で抑えることが確認できた。

 

(読売新聞 2016年8月30日)

膵癌で癌細胞性阻害剤がP3へ

 大日本住友製薬は、次期主力薬として開発中のがん細胞性阻害剤「ナパブカシン」(開発番号:BBI608)で、今年度中に膵がんを適応症としたピボタル試験(最終治験)を米国で開始する。他の抗がん剤との併用により、膵がんのファーストライン治療(1次治療薬)の適応で承認取得を目指す。同剤にとって4つ目のピボタル試験となる。

 

 ナパブカシンは、がん幹細胞性を制御する重要な因子であるStat3を阻害する低分子化合物。現在、胃がん・食道胃接合部腺がん(パクリタキセル併用)の2次治療、結腸・直腸がん(FOLFOXまたはFOLFOXとベバシズマブとの併用)の2次治療、非小細胞肺がん(パクリタキセル併用)の3次治療を適応とした3つの併用試験が第3相臨床試験(P3)段階にある。先行している、胃がん・食道胃接合部腺がんの併用療法は2017年の承認申請を予定している。

 

 今回、新たに膵がんを適応症としたP3を米国で開始する。ゲムシタピン、ナブパクリタキセルとの併用療法で、1次治療の適応承認取得を目指す。1次治療での使用が認められれば同剤の製品価値が高まることが期待される。

 

 また、ナパブカシンは、免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体ニボルマブ、ペンブロリズマブ、抗CTLA-4抗体イピリムマブとの併用P1試験を米国で着手している。独自試験によって併用による安全性や効果などを見極めている段階だが、開発ステージが進めば、これらの併用薬を持つ企業との共同開発に切り替えていきたい考え。

 

 3日、都内で開いた会見で研究開発を統括する野口浩副社長は、ナパブカシンの開発コンセプトについて触れ、「がん幹細胞だけでなく、それ以外のがん細胞を同時にたたいた方が腫瘍が縮小することが分かってきた。理論的にいえばナパブカシンは他の抗がん剤との併用療法で開発していくことが望ましいのではないか」と説明した。

 

(化学工業日報 2016年8月8日)

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