大腸がんで腫瘍免疫薬EP4阻害剤P1b/2へ
エーザイは、自社創薬の腫瘍免疫治療薬候補であるEP4阻害剤「E7046」で、今年度中にも大腸がんに対する術前放射線療法との併用で、欧米後期第1相/第2相臨床試験(P1b/2)を開始する計画。E7046はその作用機序により、放射線療法の抗腫瘍作用を増強できる可能性が示唆されている。エーザイとしてはまず放射線療法との併用でE7046の薬剤としての可能性を高めていく。同P1b/2データを承認申請に活用することで2020年度の上市を目指す。
E7046は米国のエーザイ・インク アンドーバー研究所が創製した低分子化合物。がん細胞は生理活性物質であるプロスタグラジンE2(PGE2)を発現させる。PGE2の受容体が単球上にあるEP4で、PGEと結合して活性化すると単球が免疫抑制作用を有するM2型マクロファージへと分化してしまう。E7046はEP4受容体を選択的に阻害することでM2型マクロファージを減らし、がん細胞を攻撃する細胞障害性T細胞(CTL)が働けるようにする。
エーザイは同社初の腫瘍免疫治療薬候補として、欧米において固形がんを対象とした単剤でのP1を進めている。
エーザイはE7046の早期上市に向け、今年度内にも欧米P1b/2を開始する見込み。局所進行性大腸がん患者を対象に、手術前に腫瘍のサイズを小さくしたり、再発を予防するために行う術前放射線療法の併用での開発を検討している。同P1b/2を承認申請に向けたピボタル試験にしていく計画。
放射線療法を行うとがん細胞にストレスがかかり、EP4受容体のリガンド(特定的に結合する物質)であるPGE2の発現が増加することが知られている。EP4受容体を阻害するE7046に併用すると放射線療法の抗腫瘍作用が高まると期待されている。
(化学工業日報 2016年8月8日)