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がん10年生存率57%に 技術進歩で改善続く

 国立がん研究センターは17日、2003〜06年にがんと診断された人の10年後の生存率は、がん全

体で57.2%だったと発表した。昨年の集計に比べて0.8%ポイント上昇した。データを取り始めた

1990年代末から伸び続けている。

 

 特定のがん細胞を狙い撃ちする分子標的薬の登場や、早期発見につながる診断技術の進歩が貢献し

たとみられる。

 

 10年生存率の発表は5回目で、全国約20のがん専門病院で診断、治療を受けた約8万人を集計し

た。調査を担当した千葉県がんセンター研究所の永瀬浩喜所長は「最新の研究や治療法の進歩によっ

て生存率が上がっていることが示された。今後も、がんゲノム医療やオプジーボをはじめとする『免

疫チェックポイント阻害剤』の効果で上昇するだろう」と話した。

 

 部位別で生存率が高かったのは前立腺がん(97.8%)乳がん(85.9%)甲状腺がん(84.1%)。

最も低かったのは膵臓がん(5.3%)で、肝臓がん(15.6%)胆のう胆道がん(18%)が続いた。

 

 また09~11年にがんと診断された約14万3千人の5年生存率は、がん全体で68.4%で、前年集計よ

りも0.5ポイント高かった。

 

(共同通信社 2020年3月17日)

がん患者、20年で6割増も 中低所得国で顕著WHO

 世界保健機関(WHO)は「世界がんの日」の4日、今後20年間で世界のがん患者が6割増える可能

性があるとして、特に増加が顕著になると予想される中低所得国での検診や治療体制の充実を訴える

報告書を発表した。

 

 報告書によると、2018年にがん患者は世界で1810万人に上り、がんが原因で960万人が死亡。死

者の内訳は肺がんが最も多く18.4%で、大腸がんの9%、胃がんの8.2%と続く。

 

 がんは30〜69歳の年齢層で、感染症を除いた死因の約3割を占めている。00〜15年にこの年齢層

でのがんによる死亡率は、早期診断や治療が充実している高所得国では20%減らすことができたが、

低所得国では5%減にとどまった。

 

 中低所得国では、今後20年間でがん患者が8割以上増加するとみられている。19年には高所得国

の9割以上で、がん治療が公的医療で賄われているのに対し、低所得国では15%にとどまっている。

 

 WHOは喫煙を控えることや、肝臓がんを防ぐためのB型肝炎ワクチンの接種も勧めている。また、

早期発見に向け誰もが健康診断や治療を受けられる制度整備が必要と訴えている。

 

(共同通信社 2020年2月4日)

がん死亡率、北海道ワースト2 18年 全国平均と10ポイント差

 国立がん研究センター(東京)は、2018年の1年間に人口10万人当たり何人ががんで命を落とし

たかを示す「がん死亡率」の都道府県別データを公表した。北海道は81.6で、17年(84.1)からは

若干改善したものの、全国的に見ると依然として死亡率が高い地域だ。47都道府県別にみると、青森

県に次いで死亡率は2番目に高かった。

 

 都道府県別のがん死亡率は、厚生労働省の人口動態統計を基に、75歳未満を対象に各地域の年齢構

成の違いを調整して算出された。18年のがん死亡率は、同センターが運営するサイト「がん情報サー

ビス」の統計データに1月2日、追加された。

 

(北海道新聞 2020年2月4日)

胃がん、外側に進むと危険 再発8倍、大阪市立大

 胃がん切除手術後の腹膜での再発リスクは、がんが胃壁の外側に向かって進行するほど高くなると

の研究結果を、大阪市立大の八代正和研究教授(消化器外科学)らのチームが16日、米科学誌電子版

に発表した。胃壁の最も外側までの距離が234マイクロメートル以下まで進むと、再発リスクは8.75

倍になるとしている。

 

 高性能顕微鏡を使い1分程度で距離を測定でき、八代研究教授は「短い時は手術後に強力な抗がん

剤を投与し、リスクを下げられる可能性がある。今後、臨床試験に進みたい」と話している。

 

 チームによると、胃がんの手術後にがんが再発した患者のうち、がんが胃壁から外へ出て腹部に散

らばり、腹膜で再発する人は最多の約40%を占める。再発すると死亡率も高く、防止が課題になって

いる。

 

 チームは、市立大病院で胃がんを切除した患者のうち、胃の内側から、漿膜下層まで進行していた

96人を調査。がん細胞が最も進行した部分と、胃壁の最も外側までの距離を、高性能の顕微鏡で測定

した。

 

 この距離と、手術後5年以内の腹膜での再発の関係を解析すると、再発した16人のうち14人が234

マイクロメートル以下で、それより離れている患者よりも再発リスクが8.75倍との結果が出た。

 

(共同通信社 2020年1月16日)

少量の酒でもがんリスク 1日1杯で5%増

 1日ワイン1杯程度の少量のアルコールでも10年間飲酒を続けると、がんになるリスクが5%上が

るとの研究結果を東京大などのチームが9日、米科学誌に発表した。少量の飲酒は循環器病などのリ

スクを下げるとの報告もあるが、がんに関しては量に応じて危険性が高まるとしている。

 

 少量のアルコールで、がんのリスクが高まるとの研究は最近、海外でも報告されているが、日本人

を大規模に調べた研究は初めて。チームの財津将嘉東大助教(公衆衛生学)は「リスクを自覚してお

酒と付き合ってほしい」と話している。

 

 チームは、2005〜16年に全国33の労災病院に入院したがん患者、約6万3千人と、がんではない

患者、約6万3千人の飲酒量や飲酒期間を分析した。この結果、飲酒しない人ががんになるリスクが

最も低く、飲酒量が多いほどがんになりやすいことが分かった。

 

 1日に日本酒1合、ワイン1杯(180ミリリットル)、ビール中瓶1本、ウイスキー1杯(60ミリリ

ットル)のいずれかに相当するアルコールを10年間飲み続けた場合、食道がんになるリスクが

45%、喉頭がんは22%、大腸がんは8%、胃がんは6%上昇。がん全体では5%上がるとしている。

 

(共同通信社 2019年12月10日)

がん細胞塊に血管再現 京大グループなど装置開発、薬剤効果検証で期待

 がん細胞の塊を新たにできる血管を含めて再現するシリコンゴム製の装置を開発したと、京都大な

どのグループが7日発表した。血管を通してがんに作用する抗がん剤の効果を検証することに生かせ

るという。成果は国際科学誌「バイオマテリアルズ」に掲載された。

 

 がんの中には新たな血管ができ、血液から栄養分を得て進行し、血管を通って移転する。一方、薬

剤開発の効果を確かめるために以前から使われてきたがんのモデルでは、血管を再現できていなかっ

た。

 

 京大工学研究科の横川隆司教授や東北大の梨本裕司助教らが、100円玉大のチップ形状の装置を開

発した。直径1ミリの穴にヒトの乳がん細胞を、周囲に血管の細胞などを置いて培養すると、数日で

がん細胞の塊の中に血管ができた。

 

 血管内に抗がん剤を流すと、抗がん剤の濃度が低い場合ではがんの増大を止められなかった。一

方、血管内における抗がん剤の流れを作らない状態では、濃度が低い場合でもがんは小さくなった。

薬剤の効果を検証する際に、血流の影響を考慮する重要性が示されたという。

 

 横川教授は「従来のがん細胞塊のモデルと合わせて使うことで、より生体に近い形で薬剤の効果を

検証できる」としている。

 

(京都新聞 2019年11月8日)

サリドマイド薬害、仕組み解明 血液がん新薬開発に期待

 睡眠薬として使った妊婦の子どもに深刻な薬害を引き起こしたサリドマイドについて、東京医科大

などの国際共同研究グループは8日、薬害の仕組みを解明したと英専門誌に発表した。サリドマイド

は現在、血液がんの治療薬として使われており、副作用を抑えた新しい薬の開発が期待できるとい

う。

 

 サリドマイドは1950年代に睡眠薬として発売されたが、妊娠初期にのむと子どもの手足や耳の形

が変わるなど、世界的な薬害問題になった。その後、ハンセン病や血液がんの一種である多発性骨髄

腫に効果が確認され、国内では2008年に治療薬として再承認された。ただ、形態異常を引き起こす

仕組みは不明で、新薬開発の課題になっている。

 

 東京医科大の半田宏特任教授と伊藤拓水准教授らは2010年、サリドマイドを細胞に加えると「セ

レブロン」というたんぱく質とくっつくことを発見。今回、この物質が、手足や耳の形成に関わる

「p63」というたんぱく質を分解してしまうことを突き止めた。

 

(朝日新聞 2019年10月8日)

膵臓がん周辺に抑制物質 名古屋大、薬物開発に一歩

 膵臓がんのがん細胞の周りにある細胞に、がんの進行を抑制するタンパク質が含まれることを発見

したと、名古屋大の研究チームが22日、米医学誌電子版に発表した。水谷泰之助教は「抗がん剤が効

きにくい膵臓がんの薬物治療法開発の第一歩になれば」と話している。

 

 がん組織はがん細胞と、それを囲む線維芽細胞などで構成される。繊維芽細胞は、がんを促進する

ものと抑制するものがあると考えられており、チームはメフリンというタンパク質を持つ細胞に着

目。遺伝子操作でメフリンを持たなくしたマウスに膵臓がんを発症させると、進行が早く悪性になり

やすかった。

 

 がんが進行するとメフリンが減り、それまでがんを抑えていた細胞が促進に転じる可能性があるこ

とも分かった。一方で、細胞にビタミンDを投与するとメフリンが増えることも確認した。

 

 膵臓がんは主要ながんで最も生存率が低い。手術をした患者71人のメフリンの量を調べると、少な

い人より多い人の方が生存率が高かった。チームは、繊維芽細胞の性質を人為的に変える新薬の開発

と抗がん剤の併用で、効果的な治療につながられるとしている。

 

(共同通信社 2019年8月23日)

再発の乳がん細胞に「弱点」 増殖促す分子たたけ

 公益財団法人がん研究会や理化学研究所、熊本大などの研究チームは22日、ホルモン療法が効かな

くなって再発した乳がん細胞に、「弱点」となる分子の仕組みを見つけたと発表した。研究チームは

「新たな治療法の開発につながる可能性がある」としている。

 

 乳がんは、女性がかかるがんの中で最も多い。うち約7割は、女性ホルモンのエストロゲンが、が

ん細胞の増殖に関わるとされる。エストロゲンの働きを抑えるホルモン療法が取られてきたが、途中

で効果が薄れ、再発することが課題になっていた。

 

 研究チームは、再発したがん細胞を人工的に培養し、増殖などに関わる遺伝子を詳しく解析した。

その結果、「エレノア」と呼ばれるリボ核酸(RNA)分子が、死滅しようとしているがん細胞に働き

かけ、増殖に関わる遺伝子を活性化させていることを突き止めた。核酸医薬を使うとエレノアは消失

し、がん細胞は死滅したという。

 

 研究チームの斎藤典子・がん研究会がん生物部長は「エレノアを標的にした次世代の抗がん剤を開

発できれば、副作用の少ない治療法の開発につながる可能性がある」と話している。

 

 研究結果をまとめた論文は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。

 

(朝日新聞 2019年8月23日)

がんに神経入り悪化促進 岡山大、新治療開発に期待

 がん組織に自律神経が入り込み、増殖や転移を促進しているとの研究結果を、岡山大の神谷範教授

(細胞生理学)らのチームが8日付の海外科学誌電子版に発表した。自律神経を操作し、がんを抑制

する新たな治療法の開発につながる可能性があるという。

 

 チームによると、自律神経は脳からの命令(電気信号)を臓器に伝え、働きを調整するケーブルの

役割を持ち、ストレスや緊張で活発に働く交感神経と、リラックス時に活発化するという副交感神経

がある。

 

 研究では、人の乳がん組織を調べ、がんの増大に伴って自律神経ががん組織に入り込むことを発

見。乳がん患者29人のがん組織を解析すると、交感神経の密度が高い人は、術後の再発や死亡率が高

いことが分かった。

 

 さらに、遺伝子を操作して局所の自律神経の機能をコントロールする技術を開発。人の乳がんを移

植したマウスの乳腺で、この技術を使って交感神経を刺激すると、がんが増殖し転移も増え、交感神

経を除去すると抑制されたという。

 

 神谷教授は「ストレスを軽減し心の平静を保つ工夫が、がんの予防、悪化抑制に役立つことを示す

結果。自律神経を操作する遺伝子治療の開発などが期待される。他の種類のがんでも調べたい」とし

ている。

 

(共同通信社 2019年7月9日)

がん細胞の遺伝子変異防ぐ仕組み、一端解明 京大グループ

 がん細胞の遺伝子変異を防ぐ仕組みの一端を発見したと、京都大のグループが発表した。抗がん剤

を使用し続ける中で、耐性化するがん細胞の発生を抑える手法の開発につながる可能性があるとい

う。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」にこのほど掲載された。

 

 がんは、複数の種類の遺伝子変異が細胞に蓄積して生じる。広く行われる抗がん剤治療では、がん

細胞にさらに変異が起こって薬剤耐性を持つことが課題となっている。

 

 医学研究科の高折晃史と白川康太郎助教、松本忠彦研究員らは、がん細胞の薬剤耐性化に関わると

される酵素「APOBEC3B(A3B)」に着目。ヒトの培養細胞を使った実験の結果、PKAという酵素が

A3Bの働きを変化させることを発見。A3Bの働きの変化をさらに解析したところ、A3Bが本来持って

いる遺伝子を変異させる機能が失われていた。

 

 高折教授は「A3Bの働きを阻害することで、がんの薬剤耐性化を抑えられる可能性がある」と話

す。

 

(京都新聞 2019年6月12日)

血液がん悪化させる酵素 京大特定、薬剤耐性も

 血液のがんの一種「多発性骨髄腫」の悪化や抗がん剤への耐性化に、特定の酵素の増加が関与して

いるとみられると、京都大の高折晃史教授(血液学)らのチームが27日までに英科学誌電子版に発表

した。増加を抑制できれば、抗がん剤の効果を維持するなどの治療法開発につながる可能性があると

している。

 

 この酵素はAPOBEC3B。チームは、多発性骨髄腫の一部の患者でこの酵素が過剰に増え、治療成

績も悪いことに着目した。

 

 骨髄腫患者の細胞を使用した対外での実験で、APOBEC3Bがあまり作られないようにすると、病

状の悪化や抗がん剤への耐性化の原因になるとみられる遺伝子変異の蓄積が見られなくなった。

APOBEC3Bが普通に作られる場合は遺伝子変異が蓄積した。

 

 チームによると、APOBEC3Bは約10種類あるAPOBEC3Bのうちの一つ。APOBEC3Bは乳がんや

肺がん、子宮頸がんなどでも遺伝子変異を引き起こす要因の一つとして報告させている。

 

 多発性骨髄腫は、骨髄で作られる血液細胞の一つ「形質細胞」ががん化し、骨髄の中で増え続ける

疾患。出血や骨折をしやすくなり、感染症にもかかりやすくなるほか、腎臓障害などを起こすことも

ある。

 

(共同通信社 2019年5月27日)

有益免疫抑えない理由解明 がん治療薬利用のPD1

 免疫にブレーキをかける働きがあることから、がん治療薬の開発につながったPD1というタンパク

質が、ウィルスや細菌を攻撃する有益な免疫はなぜ抑制しないのかの仕組みを解明したと、徳島大の

岡崎拓教授(免疫学)のチームが18日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。

 

 PD1は、免疫細胞の表面にあり、ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大の本庶佑特別教授のチー

ムが発見。がん細胞にあるPDL1という別のタンパク質と結合することで免疫にブレーキがかかり、

がんは免疫からの攻撃を逃れていることで知られる。この結合を防ぐがん治療薬「オプジーボ」など

が実用化されている。

 

 だが、がんへの免疫による攻撃を抑えるPD1が、体内の正常な免疫は抑えない詳しい理由は不明だ

った。

 

 チームは、T細胞と呼ばれる免疫細胞の働きを活発にする樹状細胞に着目、生物の遺伝子を改変で

きるゲノム編集技術を利用し、マウスを使って実験した。

 

 すると、いずれも樹状細胞細胞にあるCD80というタンパク質とPDL1が結合するため、T細胞の

PD1が、樹状細胞のPDL1と結合しなかった。その結果、T細胞の働きが抑制されず、正常に活性化

することが分かった。

 

 チームによると、ほとんどのがん細胞には、CD80が存在しないため、PD1とPDL1の結合が阻害

されないという。

 

(共同通信社 2019年4月19日)

肺がん:がん細胞、死滅法解明 金沢大教授ら、根治期待

 がん細胞を狙い撃ちする「分子標的薬」から、たんぱく質を使って生き延びる肺がん細胞のメカニ

ズムを、金沢大がん進展制御研究所の矢野聖二教授(腫瘍内科)を中心とした共同研究チームが解明

した。たんぱく質の働きを抑える薬と併用することで、肺がんの根治が期待できるという。このほど

英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)に発表した。

 

 研究は、日本人の肺がん患者の25%で確認される「EGFR」と呼ばれる遺伝子の変異に特化した

もの。このタイプのがんは、最新の分子標的薬により7〜8割の確率で縮小するが、生き残ったがん

細胞による再発が課題だった。矢野教授らは、がんの転移などに関与するたんぱく質「AXL」が、分

子標的薬にさらされると活性化しがん細胞の増殖を促すことを突き止めた。

 

 この結果を踏まえ、肺がん患者の腫瘍組織を移植じたマウスに分子標的薬とAXLの働きを抑える阻

害薬を併用したところ、がんの再発を著しく遅らせることに成功。培養した肺がん細胞を用いた実験

では、分子標的薬のみの場合は多くのがん細胞が生き残ったのに対し、併用した場合はほぼ死滅した

という。

 

 今回の実験で使用した分子標的薬は高額のうえ、AXL阻害薬の実用化には時間がかかる見込み。記

者会見した矢野教授は「副作用の少ないAXL阻害薬の選出や開発、分子標的薬と併用する臨床試験な

どに取り組みたい」と話した。

 

(毎日新聞社 2019年2月8日)

がん遺伝子異常、加齢で増 飲酒や喫煙が促進、京大

 食道がんを引き起こす恐れがある遺伝子の異常は年を取るとともに増加し、過度の飲酒や喫煙で促

進されることが食道上皮の遺伝子解析で分かったと、京都大の小川誠司教授(分子腫瘍学)らのチー

ムが2日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 

 小川教授は「加齢とともにがんになる人がなぜ多くなり、飲酒や喫煙がそのリスクをどう高めるの

かを解明する手掛かりとなる結果だ」としており、早期診断や予防につなげたいという。

 

 チームによると、がんは、細胞の特定の遺伝子に異常が生じ、増殖することで発症する。加齢に加

え、生活習慣によってリスクが高まるとされるが、詳細なメカニズムは分かっていない。

 

 チームは、発がんに先立って起きる遺伝子の異常を調べようと、20〜80代のがん患者や健康な人

計約130人の正常な食道上皮を採取し、解析した。

 

 その結果、患者、健康な人を問わず、正常な遺伝子であっても、食道がんで頻繁に見られる遺伝子

異常が加齢に伴って増え、過度の飲酒や喫煙歴があるとさらに増加する傾向にあった。

 

 こうした異常を持った細胞は、70歳以上の高齢者では飲酒や喫煙の有無にかかわらず、食道全体の

面積の40〜80%に拡大していることも判明。異常は生後間もない時期に生じていた場合もあること

が分かった。

 

(共同通信社 2019年1月4日) 

扁平上皮がん転移の仕組み解明 北大大学院のグループ

 北大大学院医学研究院のグループが、皮膚や頭頸部のがんに多い「扁平上皮がん」が転移する仕組

みを解明した。皮膚や粘膜の正常な扁平上皮細胞の中に多く存在する「TRIM29」と呼ばれるタンパ

ク質が関与し、これが減少していると転移が進んでいることを突き止めた。研究成果が今後、がんの

診断や治療法の開発につながることが期待されている。

 

 柳輝希特任助教(皮膚科学)と畠山鎮次教授(医科学)らでつくるグループ。皮膚がんや舌がんの

組織を調べてみると、正常な細胞よりもTRIM29の量が減っていた。減れば減るほど、4がんの転移

が進んでいたことが分かった。

 

 また、培養した細胞の実験で、TRIM29が、扁平上皮細胞の形を維持する働きのある別のタンパク

質「ケラチン」と結合することを発見。ケラチンは細胞内全体に分布して形を保っているが、実験で

TRIM29を減らすと、ケラチンは細胞の中央に集まり、細胞の形が変わり動きやすくなることを突き

止めた。がんの組織でも同様の分布が見られ、転移を促すと結論づけた。

 

(北海道新聞 2018年11月27日)

遺伝性乳がんの仕組み解明、京大、リスク測定に期待

 がん抑制遺伝子の一つ「BRCA1」が欠損した乳腺や卵巣では、女性ホルモンがDNAを切れた状態

にしやすくなってがんのリスクを高めることが分かったと、京都大のグループが22日発表した。が

んのリスクを測定する方法に活用できる可能性がある。成果は米科学アカデミー紀要に23日掲載す

る。

 

 国内では遺伝性の乳がんは年間数千人、卵巣がんの患者は同約1000人新たに見つかり、それぞれ

のがん患者全体の3~10%を占める。BRCA1の変異があった米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさ

んは、予防のため乳房や卵管を摘出したことで知られる。BRCA1の変異ががんを発症させる仕組み

はよく分かっていなかった。

 

 医学研究科の武田俊一教授や笹沼博之准教授、医学部6年の森本俊さんらは、BRCA1を働かなくし

たヒトの乳がん細胞を作製。妊娠中の女性と同じ血中濃度となるように女性ホルモン「エストロゲ

ン」を投与すると、細胞内の遺伝子の集まりである染色体の多くが切断されたままになった。細胞を

解析すると、BRCA1は本来、エストロゲンによって切断された染色体の修復を促す働きがあると分

かった。笹沼准教授は「BRCA1の変異とがんの関係をさらに詳細に解明すれば、発がんの確率を予

測できるようになって治療に役立てるはず」と話す。

 

(京都新聞 2018年10月23日)

がん細胞の増殖映像、体外で撮影…北大が成功、個別治療の一助に

 がん細胞がプレート上で動き回って増殖し、腫瘍になっていく映像の撮影に、北海道大医学部の宮

武由甲子助教(45)(実験病理学)らの研究グループが成功した。

 

 半導体基板の技術を応用し、約50ナノ(1ナノは1ミリの100万分の1)の凹凸がある培養プレート

を制作。この凹部分をがん細胞が腫瘍に成長する足場とした。映像では、膵がん細胞が触手を伸ばし

て周囲の死んだ細胞を取り込み、近くの別の腫瘍と合体して大きくなる様子などが確認された。論文

は英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載。映像はユーチューブで閲覧できる。

 

 

 宮武助教は「がん細胞が周辺の死んだ細胞の分子をまとうのは、人体の免疫システムの攻撃を免れ

るためではないか」と話す。

 

 西原広史・慶応大医学部腫瘍センター特任教授の話「患者一人一人のがん細胞に抗がん剤が効くか

どうかをプレート上で簡単に判断できる可能性があり、画期的な研究と思う」

 

(読売新聞 2018年10月18日)

オプジーボ中止後も影響か 大阪大、副作用対処に

 免疫の働きを利用したがん治療薬「ニボルマブ」(商品名オプジーボ)は、投与中止後も4カ月以

上、影響が継続する可能性があると、大阪大の小山正平助教(呼吸器内科学)らのチームが4日、海

外の科学誌電子版に発表した。投与をやめても副作用が続く恐れがあり、対処法や抗がん剤との併用

効果を検討する上で役立つ成果という。

 

 オプジーボは、ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった本庶佑京都大特別教授の研究成果を基に実

用化された。

 

 本庶氏のチームは、異物を攻撃する免疫細胞の表面でブレーキ役として働く「PD1」というタンパ

ク質を発見。がん細胞はPD1と結合して免疫細胞の攻撃にブレーキをかける。これを阻止するため、

オプジーボは先回りしてPD1と結合し、がんを攻撃できるようにする。

 

 阪大のチームは、効果がなかったり副作用が出たりしてオプジーボの投与を中止した非小細胞肺が

ん患者8人の血液を分析装置で調べ、オプジーボとPD1との結合状態を解析した。

 

 すると、投与中止後も少なくとも約4か月間、結合が確認でき、1年近く続いた人もいた。オプジ

ーボの投与回数や、中止後の抗がん剤治療は、結合期間に影響しないことも分かった。

 

(共同通信社 2018年10月5日)

血液癌細胞増殖の分子メカニズム解明

 順天堂大学は、骨髄増殖性腫瘍患者に見いだされたCALR遺伝子の変異によって血液細胞ががん化

し増殖する分子メカニズムを明らかにした。その作用機序を標的とした創薬の可能性も示されたとい

う。根本的な治療法がなかった骨髄増殖性腫瘍の効果的な治療薬開発が期待される。

 

 細胞内にシグナルを伝達する受容体たんぱく質MPLとの結合に必要な変異型CALRたんぱく質の構

造変化が、複数の変異型CALRたんぱく質同士の結合によって引き起こされていることが分かった。

結合部位に競合して結合するたんぱく質を大量に発現させて変異型CALRたんぱく質同士の結合を阻

害し多量体化を防いだところ、がん化に必要なMPLの活性化の減弱を確認。変異型CALRたんぱく質

同士の結合を効率的に阻害する物質がCALR遺伝子変異で発症した骨髄増殖性腫瘍の治療に有効であ

ることを示している。

 

 成果は、英科学誌ネイチャー系列誌の「Leukemia」(オンライン版)で公開された。

 

(科学工業日報 2018年7月5日)

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