国立がん研究センターと九州大は24日、大腸がんで手術した患者の血液から患者特有の遺伝子の有無を調べ、再発リスクを判別することができたとする臨床試験(治験)の途中結果を発表した。手術後に抗がん剤治療を受けるかどうかの判断材料になるという。

 抗がん剤は治療効果に個人差がある上、副作用が大きく体に負担がかかる。オンラインで記者会見した九州大の沖英次准教授は「本当に必要な人だけに積極的な治療をすることができ、治療体系が根底から変わる」と話した。検査機器を年内にも国に承認申請する予定という。

 手術でがんを切除したステージ2~4の患者1039人が対象。患者ごとにがん組織を解析し、がんの原因とみられる16種類の遺伝子を選び検査機器を個別に設定。定期的に血中のがん遺伝子の有無を調べた。

 手術後4週間の時点で陰性患者の91%が1年半後に再発しなかったと推計されたのに対し、陽性の患者で再発しなかったのは38%と低く、陽性患者の再発リスクが高い結果となった。画像検査などでは見つからない段階で血中に潜むがんを見つけているとみられる。

 抗がん剤治療の対象となるステージ2と3の患者に限定し分析。陽性患者で抗がん剤治療を受けた人は62%が再発しなかったのに対し、受けなかった患者で再発しなかった人は22%にとどまった。一方、陰性患者では抗がん剤の有無で再発リスクの差は確認できなかった。

(共同通信社 2023年1月25日)

 

 

 

胃、食道、胆道がんも関与 乳がんリスクの遺伝子変異

 乳がんの発症に関わることで知られる「BRCA」という遺伝子の変異が、胃や食道、胆道のがんの

発症リスクも上昇させることが分かったとする研究結果を、理化学研究所や国立がん研究センターな

どのチームが14日付米医学誌JAMAオンコロジー電子版に発表した。日本人約10万人分の遺伝子を

解析した。

 

 チームは「BRCA遺伝子に変異がある人のがん予防につなげたい」としている。この変異があるが

ん患者に合わせた治療薬は既に実用化しており、使用すれば効果が期待できるという。

 

 BRCA遺伝子には「1」と「2」の2種類あり、DNA の傷を修復して細胞のがん化を抑える働きが

ある。これらの遺伝子に生まれつき変異があると、乳房、卵巣、前立腺、膵臓でがんの発症リスクが

高まることがこれまでに分かっていた。

 

 がん患者を含む約10万人の遺伝子の情報を調べてところ、BRCA2に変異があると胃がんで5.2

倍、胆道がんで17.4倍、発症リスクが上がった。BRCA2に変異がある場合は胃がんで4.7倍、食道

がんで5.6倍と分析された。

 

 胃、食道、胆道のがん患者のうち、これらの遺伝子変異がある割合は1~2%だった。

 

(共同通信社 2022年4月15日)

がん細胞のオートファジー阻害剤開発 抗がん剤の効果高める、岐阜薬科大など共同研究

 岐阜薬科大学(岐阜市)の遠藤智史准教授らの研究グループが、がんの生存や抗がん剤耐性化を助

長する「オートファジー(自食作用)」に特化した阻害剤を開発した、と発表した。阻害剤が、抗が

ん剤によるがん細胞のオートファジーを抑制し、治療薬の効果を高めることを初めて解明。遠藤准教

授は「新たな抗がん剤併用薬の開発につながる研究成果」と話している。

 

 グループは、オートファジーでタンパク質を包み込む膜「オートファゴソーム」を形成する際に必

須のタンパク質分解酵素のうち、「Atg4B」が最も重要な働きをすることに着目。Atg4Bの発生を抑

えることで、膜の形成が不完全になることから、Atg4B阻害剤の開発に着手した。

 

 スーパーコンピューターを用い、化合物21万種から有効な種類を見つけ、結合のシミュレーショ

ンを経て新たな有機化合物「21f」を作った。21fは栄養不足の培地で処理した前立腺がん細胞と一

緒に入れると、オートファジーを抑制し、がん治療薬による細胞の自然死(アポトーシス)を促すこ

とが分かった。

 

 今までオートファジー阻害剤は他の機能に影響することもあり、副作用が大きく、実用化できてい

なかった。今回の研究では、膜の形成を阻害することに特化しているため、副作用が小さいと考えら

れており「より安全で、実用化に向けた足掛かりになることが期待できる」(遠藤准教授)という。

グループは今後、臨床試験などを行い、最終的には新たな抗がん剤併用薬の開発を進める。遠藤准教

授は「岐阜から世界に羽ばたく創薬を目指していきたい」と話した。

 

 グループは同大の遠藤准教授、松永俊之教授、五十嵐彰教授が中心となり、岐阜大学や富山大学、

産業医科大学など6大学で共同研究を行った。研究成果は米国化学会誌「ジャーナル・オブ・メディ

シナル・ケミストリー」に掲載された。

 

(岐阜新聞 2022年3月31日)

マラウイでポリオ発生 3歳女児が感染

 世界保健機関(WHO)は18日までに、マラウイの首都リロングウェで3歳の女児がポリオ(小児ま

ひ)に感染したことを明らかにした。女児は昨年11月に麻痺を発症したという。アフリカで野生株の

ポリオウイルスが確認されたのは5年ぶり。

 

(共同通信社 2022年2月21日)

がん抑制タンパク質を発見、脳腫瘍で効果確認 世界初メカニズム解明

がん細胞を生み出す能力を持つ「がん幹細胞」に発現するタンパク質「SMURF2」が、がん幹細胞

の機能を調節していることを発見したと、岐阜薬科大の檜井栄一教授らの研究グループが11日発表

した。SMURF2のリン酸化によって、がん幹細胞が原因で発現する治療困難な脳腫瘍「グリオブラ

トーマ」の進行を抑制できることを世界で初めて解明。がんの根治に向け、がん幹細胞のメカニズ

の一端が明らかになった。

 

 グループは、患者由来のグリオーマ幹細胞から、SMURF2の働きを抑えた「SMURF2抑制細胞」

を作製し、がん幹細胞の機能が増強したことを確認した。SMURF2抑制細胞をマウスに移植したと

ろ、生存期間が大幅に短縮し、腫瘍サイズも増大した。

 

 グリオブラストーマを含む悪性度の高い腫瘍組織を調べると、SMURF2を構成するアミノ酸

「Thr249」のリン酸化が抑制されており、SMURF2の活性化が抑えられていた。SMURF2が発現し

た細胞と、SMURF2の働きが弱い細胞をマウスに移植したところ、発現細胞を入れたマウスは生存

間の延長と腫瘍サイズの減少、働きが弱い細胞を入れたマウスは生存期間の短縮と腫瘍サイズの増

が見られた。

 

 SMURF2のリン酸化によって、がん細胞の機能を調節するタンパク質の結合体の分解を促進させ

いることが分かった。檜井教授は「SMURF2のリン酸化のスイッチをオン、オフする仕組みが分

かったことで、がん根治のための新しい治療戦略ができる」と話した。

 

 グループは現在、SMURF2のリン酸化を調節する創薬に取り組んでいる。他のがんにも当てはま

可能性があり、有効な治療法が確立されていない疾患の解決が期待されている。

 

 檜井教授らのグループは岐阜大、金沢大、東京大と共同研究し、研究成果は英国学術雑誌「コミュ

ニケーションズ・バイオロジー」に掲載された。

 

(岐阜新聞 2022年1月12日)

線虫で膵臓がん調査 ベンチャー企業、来年から

 がんのにおいに反応する線虫を利用して、膵臓がんの疑いがあるかどうかを調べる手法を開発し、

来年から有料でサービスを始めると東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」(広津崇

亮社長)が16日、発表した。遺伝子組み換え技術を応用して、発見が難しい早期膵臓がんも検出可

能としている。

 

 広津社長によると、膵臓がんは画像診断など、従来の手法では早期発見が難しいが、尿を調べるこ

とで早期発見につながるとしている。

 

 線虫はにおいに敏感で、健康な人の尿には近づかず離れるが、がん患者の尿には近づく特性が知ら

れている。(1)普通の線虫で「がんの疑い」を調べる(2)遺伝子組み換えで膵臓がん特有のにお

いを識別できなくした線虫で、再び調べるーという仕組み。

 

 同社の実験では、膵臓がん患者22人の尿は全て正しく判定。その他のがん患者46人で調べると、

約9割の精度で「他のがん」と判定した。早期膵臓がんの患者の尿も識別できたという。

 

(共同通信社 2021年11月17日)

大腸がん患者に多い口内細菌発見 鹿児島大など研究チーム 唾液使った検査実用化目指す

 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の杉浦剛教授(顎顔面疾患制御学)らの研究チームは、大腸が

ん患者の口内にある常在菌4種類が、健康な人より多くなっていることを発見したと発表した。口内

の細菌が大腸がん発生に関与している可能性が示唆された形。唾液を使った大腸がん検査の実用化を

目指している。

 

 チームは、鹿大病院消化器外科、大阪大学微生物病研究所と共同研究した。健康な人51人と大腸

がん患者52人の唾液、便に含まれる菌を2018年から調査。論文は、7月2日付の国際学術誌

「Cancers」に掲載された。

 

 口内には約700種類の細菌が常在するとされる。チームはそのうち4種類の細菌が大腸がん患者の

口内と腸内で多く、健康な状態と異なる菌構成であることを明らかにした。

 杉浦教授は「腸内の細菌は口から運ばれたもの。直接か間接かは不明だが、口内の特定の細菌が大

腸がんの原因になっているのではないか」としている。

 

 チームは、唾液に含まれる菌の検査で大腸がんの発生やリスクが分かる方法を研究中。杉浦教授は

「1,2年内の実用化を目標に、高精度で検知できるようにしたい」と語った。

 

(南日本新聞 2021年9月22日)

がん免疫治療の効果増大 ミトコンドリア活性化で

 がん免疫治療薬「オプジーボ」をはじめとする「免疫チェックポイント阻害剤」について、免疫細

胞内にあり、細胞のエネルギー生産工場とも呼ばれるミトコンドリアを活性化させると薬の有効性が

高まると、京都大の杉山弘教授(ケミカルバイオロジー)らのチームが14日付の国際科学誌電子版

に発表した。

 

 免疫細胞にはがん細胞を攻撃する役割があるが、その表面にあるタンパク質にがん細胞が結び付く

と免疫細胞の働きが阻害される。オプジーボはこのタンパク質をがん細胞から守り、免疫細胞が機能

するのを助ける働きがある。オプジーボは、2018年にノーベル賞を受賞した本庶佑京大特別教授の

発見を基に開発されたが、半数以上の患者には効果がないとされている。

 

 チームは免疫細胞内のミトコンドリアに着目。ミトコンドリアの合成に不可欠な遺伝子の働きを強

める化合物を作製し、オプジーボと同様の仕組みで働く薬とともにがんを発症したマウスに投与する

と、ミトコンドリアの機能が高まったり免疫細胞の数が増えたりし、薬のみで治療した場合と比べて

約10日後にはがんの体積が5分の1程度になった。

 

 チームは今後、がん患者への有効性を確かめたいとしている。杉山教授は「オプジーボが効かない

患者の半分くらいに効果が出るかもしれない」としている。

 

(共同通信社 2021年9月14日)

抗がん作用の物質抽出 ミャンマーの植物から 名市大グループ

 名古屋市立大の研究グループは、高知県立牧野植物園と協力し、ミャンマーのキョウチクトウ科植

物から抗がん作用のある化合物を抽出したと発表した。同国では軍のクーデターで政情不安が続く。

同大薬学研究科の林秀敏教授(生化学)は「今は研究どころではないだろう。将来的にミャンマー政

府と協力し、現地の産業育成にもつながれば」と話している。

 

 同国は多様な植物の宝庫だが研究が進んでおらず、「植物資源」として期待されている。同植物園

は2000年、同国と協定を結んで研究を進めており、名市大は同植物園の「ミャンマー産植物抽出エ

キスライブラリー」(全700種)を活用した。

 

 林教授らは、ヒトの細胞内の小器官「小胞体」で、異常たんぱく質を取り除くストレス反応

(UPR)を抑制する働きのある植物を探した。UPRは慢性的に活性化するとがんなどを引き起こすこ

とが知られる。その結果、キョウチクトウ科の一種に注目し、成分を精製して化合物「ペリプロシ

ン」を取り出した。この化合物を試験管内で血液のがん細胞に作用させると、UPRを抑制し、がん細

胞が大きく減ったという。

 

 林教授は「UPRはがんだけでなく、さまざまな病気に関与しているとされ、アルツハイマーなど神

経変性疾患や糖尿病への効果も期待される。今後実験を重ねて安全性を調べ、創薬につなげたい」と

意気込む。同植物園は「社会情勢や新型コロナウイルス感染が落ち着き次第、ミャンマー森林研究所

と共同で調査したい。資源探索は人類の未来の基礎。研究を続けることは指名だ」としている。成果

は5月、英科学誌サイエンティフィック・リポーツ(電子版)に掲載された。

 

(毎日新聞社 2021年8月13日)

がん免疫療法、敵は老化か 京大、細胞刺激で薬効回復

 異物を排除する免疫細胞にがんへの攻撃を促す「免疫チェックポイント阻害剤」という薬が効かな

い場合、加齢に伴い攻撃役の免疫細胞がうまく育たなくなった「免疫老化」が原因の可能性があると

するマウス実験の結果を、京都大の本庶佑特別教授、先端医療研究センター(神戸市)の仲島由佳研

究員らが1日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 

 高齢マウスに人間の細胞を投与することで強烈な刺激を加えると、体内のT細胞という免疫細胞が

未熟な状態から攻撃役の「エフェクターT細胞」に成長し、薬の効果が出ることも分かった。チーム

は、薬が効かなかったがん患者に他人の細胞を投与し、改めて薬を使ってもらうことで、治療を可能

にする臨床試験を構想中だとした。

 

 免疫チェックポイント阻害剤は本庶氏のノーベル医学生理学賞の受賞理由になった発見を基に開発

された。一部の患者には高い効果を示す一方、半分以上の患者には効かず、この違いが生じる原因の

探求が続いている。

 

 実験では、若いマウスと高齢マウスにがん細胞を移植。体内の免疫細胞の構成を調べると、未熟な

T細胞からエフェクターT細胞になる途中段階の細胞が高齢マウスでは若いマウスの半分以下しかな

かった。異物に敏感に反応し攻撃態勢を整える力が、老化で落ちていることがうかがえた。

 

 そこで高齢マウスに人の細胞を投与して免疫を強く刺激したところ、10日後にはエフェクターT細

胞が増加。この状態でがん細胞を移植し薬を投与すると、移植から4週間後の時点で、がんの体積は

人の細胞を投与していない高齢マウスの6分の1に抑えられていた。

 

(共同通信社 2021年6月1日)

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